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各国の治安が不安定になっていく中、
イシスは一度、アザディスタンへと足を向けるべく
地上に降り立っていた。
が、彼女は自分が回り道をしている状態に溜息をついていた。
ラグランジュ-3-0から軌道エレベーター『タワー』を利用していた。
本来ならAEUの軌道エレベーター
『ラ・トゥール』を使用した方が早いのだが、
厳戒態勢の中、規制が厳しく
仕方なく『タワー』の利用へと切り替えていた。
タワーからほど近いアメリカ、ジョージア州・アトランタ。
その街中のカジュアルなレストランにイシスはいた。
アトランタまでついたものの、
移動の飛行機便は明後日までない。
そこで宿泊をして飛行機に乗る為だ。
自身のみを案じる事と、国へ要請をすれば
チャーター便など軽く使えそうなものなのに
彼女はそれを善しとしていない。
マイスターとしての自分に対しての考えから来る事も大きいのだ。
イシスは食事を終わらせ、コーヒーの入ったカップを口に運んでいた。
日も暮れ、レストランには自分以外に客はさほど多くはない。
そんな中、賑やかな一群がいた。
10代後半〜20代前半の少年が数名、賑やかに騒いでいる。
イシスが眺めていると、店のスタッフが
近くの士官学校の生徒だと教えてくれた。
これから始まる夏期休暇を前に宿舎から自宅へ帰るものも少なくないとも。
そんな賑やかな光景を見ていると、
とても戦況下にいるとは思えない位だ。
そう感じながら、イシスは賑やかなグループから
自分の手元へと視線を戻した。
その瞬間。
イシスの前に人の気配がした。
顔を上げると、先程のグループの中な一人が
いきなり向かいに座ってきた。
イシスは警戒心を露にした。
その時、向かいの少年が口を開いた。
「…刹那…?」
「誰だ?」
自分の…いや、父のコードネームを知っている人物なんて
ソレスタルビーイング意外にいる人物でとなると
数人しかいない。
心当たりが見当たらないイシスはますます警戒した。
「…昔、父がアンタの父親と対峙していた…
そう言えばわかるか?
俺も、一度アンタに会っている。」
いくつかのヒントを目の前の少年は伝えてきた。
ブルネットの癖のある髪、
グリーンの瞳。
真っ直ぐな眼差し。
そこで、イシスは5年程前に一度
偶然にもあった事のある親子を思い出した。
「…ティム・エーカー…
グラハム・エーカーの息子……?」
「ビンゴ♪」
そう言うと、目の前の少年…
ティム・エーカーは に と笑顔を見せた。
「どうして…アトランタにいる?」
「俺、今アトランタの士官学校にいるんだ。
寄宿舎生活ってヤツだ。
これから夏期休暇に入るから、
明日の飛行機便でカリフォルニアへ帰る。
…って言っても、こんな情勢だから長い休暇はないけどね。」
「士官学校…軍人を目指しているのか?」
「ああ。父さんと同じ道を選んだ。
いつか…空を飛びたい。」
「空へ魅力を感じている…か。
それだけでは戦えない。」
「わかってるさ。それでも、俺は…
世界を動かす力になる。
刹那は?どうしてここに?」
「…帰省…と言ったところかな?」
「どこへ?」
「アザディスタンだ。明後日、アトランタ空港からの便に乗る。」
「…アザディスタン…そこにアンタの家族がいるのか?」
「いや。家族はいない。」
「…失礼かもしれないけど…もしかして墓参りとか?そういうヤツ?」
「いや…それも違う…かな。」
「んー?じゃあ…なんだよ?
あ…恋人でもいるのか?」
「…さあ…」
「俺なら…好きなヤツがいたら…
それこそ地球の裏側でも
飛んで会いにいきたいな。」
その言葉にイシスの表情に笑みが浮かんでいた。
「…笑うなよ…アンタは好きなヤツとかいないのか?」
「ーーーーーえ…?」
「…彼女とかさ…いねーの?」
「…どうかな…」
そう言いながら、イシスは席を立ち上がった。
「あ!逃げんなよー。」
「ホテルに帰る。」
「あ!送らせろよ!車借りてんだ。」
先輩のヤツだけど。と屈託なくティムが笑う。
「おい!ティム!何やってんだ?
友達かなんかだったらこっちに交ざればいいじゃないか」
先程まで騒いでいたティムの同僚らしき青年が
いつまでも席に戻らないティムに声をかけてきた。
「悪い、ちょっとコイツ送っていく。
しばらくしたら戻ってくるから。」
ティムは店を後にしようとしていたイシスを捕まえ、
車へと誘った。
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ティムきたぁぁぁぁ(≧▽≦)
そうか
「彼女とかいないの?」って
あぁぁ 無邪気で可愛いよ(^ω^)
でも 父さんと同じ道を歩き始めたティム
がんばれっ!!
でたあぁぁぁぁ!だとエラいこっちゃですが(爆)
ええ、この時点でティム、まだ17歳ですよ!
まだまだ青いですね(≧_≦)
番外編『揺れる〜』もまた、更新して行けたらとも思います♪
楽しみにしてやって下さい〜♪