「…これ…は…」
一人呟いて目の前の情報に絶句する。
「刹那…お前までこんな辛い咎を受けていたのか
…しかも一人…いや、
子供と…娘と共に…」
モニターから視線を外し、
顔を伏せたティエリアの嘆きとも呟きとも言えない声を
聞くものは誰もいない。
「咎は受けるさ。
皆、その覚悟でやってきているんだ。
…自分自身だけが受ける咎なんて
まだまだ生易しいものだと…そういうのか…?」
ティエリアの顔に怒りとも悲しみとも言えない表情が浮かぶ。
その夜、ティエリアの眠りはかなり浅いものであった。
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訓練生、イシス・イブラヒムの
『00暴走事件』はソレスタルビーイングの噂になっていた。
それだけの大事をやらかしたにもかかわらず
当事者であるイシス・イブラヒムは恩赦とも言える処置ですんだからである。
1週間の待機命令。要は謹慎のみで済んだからである。
主たる理由としては、イシスがいなければ00のテスト及び
太陽炉の取り外しからメンテナンス、
長期にわたる不稼働部分の整備
そして何よりもデータの読み取りが
全て滞ってしまうからに他ならない。
勿論、ロックオンやアレルヤ、ティエリア達が手助けした事も
暗黙の了解ではある。
イシスが謹慎を受けている間、ティエリアから
アレルヤ、ロックオンにもイシスから手渡されたデータは届いていた。
そのデータを見た後、
誰が言うともなく3人はブリーフィングルームで顔を突き合わせていた。
ブリーフィングルームの空気はいつもより重く、
3人の表情も重いものだった。
「このデータ…刹那が残したものなんだな…」
ロックオンが呟く様にティエリアに確認を取る。
「ああ、イシスが持っていた事、
データの残し方、報告の形式、
刹那のものであると思って間違いない。」
「このデータが示す内容が確かなら…
僕たちは…ここまで大きな咎を受け続けるという事なのか…
原因は一体…?」
「おそらくは…一番の原因はGN粒子の身体に置ける影響。
思い当たる事はそこになるな。」
苦虫を咬むような表情でティリアはアレルヤの質問に答える。
「刹那は…せめて彼だけでも…
こんな思いはしてほしくなかったよ…
これは僕のエゴなのかな?」
俯きながら、アレルヤが呟く。
「オリジナルのGN粒子は悪影響が無いんじゃあなかったのか?
どうして…こんな…3人が3人とも…こんな…」
ロックオンが拳を握りしめながら吐き出す様に呟いた。
「あの戦争でGN粒子を使用した者、関わったものに
遺伝子異常が起きやすい事は医学的統計を出している段階だから
まだ確定された事項ではない。
ましてや、我々が一概にそれだけで
原因を一括りに出来ないという事実がある。
刹那からのデータの一部は医療チームに渡せるよう
こっちで編集しておこうと思う。」
2人の同意を得て、ティエリアはその足でイシスのいる部屋へと向かった。
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