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ソレスタルビーイング所有、宇宙輸送艦プトレマイオス
通称『トレミー』
輸送艦と銘打ってはいるものの、その能力は準戦闘艦に近いものがあった。
その艦内は今、メンバーが慌ただしく動き回っていた。
UNIAの攻撃が開始された。
ソレスタルビーイングの武力介入に対しての制裁措置として
攻撃が行われている。
その攻撃に対してトレミー側も反撃を開始していた。
当然ながら、ソレスタルビーイングの保有するガンダムも
搭載させている。
すでにアリオスの後継機は前線に飛び出している。
パイロットはアレクセイ・ハプティズム。
サポート機であるアーチャー・アリオスには
父親であるアレルヤ・ハプティズムが搭乗している。
ケルディムも修復と度重なる改良によってその戦力をUNIAを凌いでいた。
それでもなお、戦況はソレスタルビーイングに不利なものとなっていた。
戦術予報があてにならない。
それだけ互いの情報は読めない。
コードネーム、スメラギ・李・ノリエガ。
ナターシャ・ハプティズムが頭を抱える状況でもあった。
サポートにはいったリーサでさえも苦戦する状況だ。
その中で、とうとうトレミーにも砲撃の手が迫ろうとしていた。
搭乗していたスェウ・ディランディと
イシス・イブラヒムはトレミーの砲台に向かっていた。
「スェウ、メイン砲台へ向かってくれ。
イシスは攻撃の激しくなる右舷へ廻れ。頼む。」
ティエリアが指示すると、2人は頷いてそれぞれの砲台へと通路を進んでいた。
通路分岐点でイシスはスェウと離れようとしていた。
その時、ふと腕を捕まれる感触がある。
振り返ると、スェウがイシスの腕を掴んでいた。
そのまま、軽く引っ張られる勢いでイシスはスェウに飛び込みそうな形になる。
「…スェウ…?」
不意の行動に驚いたイシスは、目の前にいる彼の名前を呼んだ。
スェウはイシスをじっと見据えて少し間を置いてから
更にイシスに顔を近づけた。
「…この砲撃がおさまって、時間が空いたら…
お前に伝えたい事がある。聞いてくれるか?」
いつになく真摯なスェウの様子に少し驚きながらも
イシスは頷く事で答えた。
「ちゃんと…生きて伝えて。」
「…ああ。勿論。」

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