「あ、もしかして新入り?こんなとこで迷子?」
突然にこやかに軽く声をかけてきた青年に
どう反応していいやら焦っているイシスに声がかかる。
「おい、入ってこい。…って
お前も居たのか。」
ブリーフィングルームから顔を出してきたティエリアは
イシスを見ると同時に
今声をかけてきた青年を見上げる。
「あ、ティエリアおかえりー。
地上のミッションはどうだった?」
この青年は誰にでもこうなのだろうか。
そう思いながら目の前の青年を覗き込んでいると
ティエリアから声がかかる。
「ちょうどいい。2人とも入ってこい。」
「へ?俺も?」
青年は少し驚いた様子でイシスと共に
ブリーフィングルームへ入る事となった。
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ドアを開けると
今までティエリアと話していた2人の男性が
入り口に顔を向ける。
「あれー?父さんなんでここにいるの?」
ひょいと一足先に入ってきた長身の青年が
自分とよく似た容姿の男性に近寄る。
「父さん?親子…?
親子でソレスタルビーイングにいる事って
よくある事なのか?」
イシスが不思議そうにティエリアに訪ねる。
「そうだな、さほど珍しくはない。
親子で一緒に仕事をしているのも
よくある事だ。」
ふーん。と返事をかえしながらイシスは目の前の男性3人に目をやる。
全員やたらと背が高いので自分が見上げる状態になる。
ティエリアでさえ普通に身長がある方だと感じていたのだが
そのティエリアがここでは低めに見えてしまうから不思議だ。
「3人に紹介しておこう。
ガンダムマイスターの候補だ。」
ティエリアがイシスを紹介する
流れにそって、イシスが声を上げる。
「イシスです。宜しく。」
「この子が適正審査を通れば
『刹那』を名乗る事になる。宜しく頼む。」
「…おいおい、まだまだ子供じゃないか。」
父さん、そう呼ばれた男性が頭に手を当てながら呆れた様に声を上げる。
そこにすかさず隣の息子であろう青年が口を挟む。
「そんな事言いつつ、ここにいる候補もまだ未成年ですが?」
隣に立つ父親を覗き込む様に言うと
父親も「うるさい」と息子を小突く。
そのやり取りを笑いながら見ていた
オッドアイの男性がティエリアに訪ねる。
「…そういや…似てるね。彼に。
で、肝心の彼は?つれて来れたのかい?」
「それは…後ほど追って詳しく話す。
今は、この子に君たち2人を紹介しておこうと思ったんだ。」
そういい終わるとティエリアは続けて
イシスに向かって話しかけた。
「彼らが、これから君にマイスターとしての
実践的な指導をしてもらう事になる。
向かって左が、アレルヤ・ハプティズム。」
アレルヤ・ハプティズムと呼ばれた男性はにこやかに微笑んだ後
よろしく。と軽く声をかけてきた。
「中央が、コードネーム『ロックオン・ストラトス』だ。
2人とも、まだマイスターの称号を保持している。」
ティエリアが紹介するとロックオン・ストラトスが口を開いた。
「ま、今は名目上のマイスターだけどな。
出撃なんてあの戦争から殆どしてない。
機体の保有者が必要だからマイスターの名を名乗ってるだけだ。
今は主に訓練生の指導がメインの仕事だ。宜しく。」
こちらも屈託なく笑いながら声をかけてきた。
「で…君と一緒に入ってきた、右に立っている彼が
スェウ…スェウ・ディランディだ。
今の会話から判る様に
『ロックオン・ストラトス』こと、ライル・ディランディの息子にあたる。」
「お前もマイスター候補だったんだー。ふーん。
ま、宜しく頼むな。おチビさん。」
スェウと紹介された青年は軽くウィンクまでやってのけた。
イシスが『おチビ』の表現にむっとしている間もなく
ティエリアがイシスに声をかける。
「明日から適正テストと訓練を始める。
その合間にも、手伝ってもらう事があるから
明日から忙しいぞ。」
時間は一刻でも惜しい。
そういいながら、ティエリアとイシスは
ブリーフィングルームを後にした。
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イシスを部屋に送ってから
再びティエリアはブリーフィングルームに戻っていた。
戻った時にはスェウは自室に戻っており、
そこにはティエリア、アレルヤ、ロックオンの3人がいるだけだった。
「…さて、ティエリア、
説明してもらおうか。
刹那は…?あの子供は…?」
気になって仕方ないと言わんばかりに
ロックオン=ライル・ディランディは
ティエリアに質問を投げかける。
続けてアレルヤもティエリアへと問いかける。
「あの子…見た目は
初めてソレスタルビーイングに連れてこられた時の
刹那にそっくりなんだけど…
どういう事?
刹那本人は?」
たてつづけに訪れた質問攻めにティエリアは溜息をついた。
この2人、こういうところはいつまでたっても変わらないものだ。
ティエリアはイシスから聞いた通りに
3年前にソラン・イブラヒム=刹那・F・セイエイが白血病で他界した事
彼の遺体がすでに無い事を2人に伝えた。
アレルヤとロックオンは沈痛な面持ちで一部始終を聞いていた。
「じゃあ…あの子は…刹那の」
ロックオンが重い口を開く。
「そう。イシス・イブラヒム。
ソラン・イブラヒムの子供だ。
年齢は14。
ちょうどアレルヤと僕が初めて刹那に会った時と同じ年齢だ。」
「自分と同じ道を…我が子に?
刹那はそれを望んだのかな?」
眉を寄せながらアレルヤが呟く。
「それを言うなら俺たちだって同じだろう?
まぁ、俺たちの場合は本人の望んだ事だがな。」
ロックオンは先程同席していた自分の息子を思い浮かべながら
アレルヤに言った。
「子供であるイシスの生体データや
あの子が持ちうる情報で
どれだけ00のデータがさらえるか…
判らないが、協力は惜しみなくしてもらうつもりだ。
他の生徒と別扱いになりがちだから
気をつけてやってほしい。」
ティエリアがそう伝えると
2人は軽く溜息まじりに了解をしてその日のブリーフングは終了した。
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あー…今回長かった!
やっとアレと親子ロク出せたよー!
こんにちは、震電と申します。
>「あの子…見た目は
>初めてソレスタルビーイングに連れてこられた時の
>刹那にそっくりなんだけど…
文脈上、これがライルの台詞であるような印象を受けたので、あれっ?と思いました。
あと、二次創作の内容とは直接関係ないので恐縮ですが…
ティエリアは自分がイノベイドであることを知らなかったわけですが、自分のことを何者だと考えていたんでしょうね。そもそも、ティエリアに子供時代があったのか、それとも今の姿のままで生まれてきたのかも劇中では明らかにされていませんから、想像の域を出ないのですが。
コメントありがとうございます(^^)
「あの子…見た目は
初めてソレスタルビーイングに連れてこられた時の
刹那にそっくりなんだけど…
どういう事?
刹那本人は?」
この台詞ですが、これはアレルヤの発言になります。
一つ前に、ライルの発言がある事、
刹那が初めてソレスタルビーイングに入った時にいたメンバーなら
この台詞を言えるのはアレルヤしかいないというところで
お察しいただければと思います。
また、後ほど、アレルヤの発言であるという事を明確に出来るよう
加筆させていただければと思います。
ご指摘ありがとうございます。
ちなみに、これはあり得ないのですが、
もし、この台詞をロックオン(例えばニールでもいいかもしれません)が言うと、
「あの子…ぱっと見、
初めてソレスタルビーイングに連れてこられた時の
刹那にそっくりだよな?
どうなってんだよ?
刹那本人はどうした?」
になります。
> あと、二次創作の内容とは直接関係ないので恐縮ですが…
> ティエリアは自分がイノベイドであることを知らなかったわけですが、自分のことを何者だと考えていたんでしょうね。そもそも、ティエリアに子供時代があったのか、それとも今の姿のままで生まれてきたのかも劇中では明らかにされていませんから、想像の域を出ないのですが。
そうですよね…そこは私も気になるところではあります。
只、2ndのオープニングでちらりと出てきた映像で
カプセルに入っていた映像があったので、
おそらくは子供時代なんてなかったのかもしれませんね。
1stシーズンでのティエリアは
「ミッションが遂行されれば、自分の存在等どうでもいい事」という感じがするのですが
1stシーズン後半〜2ndシーズンで自分の正体に気付いた辺りから
結構、悩んでいった様にも見えますよね…
この辺りは、私もまだまだ考察中なのです(^^;