「そうだ。刹那の隣にいるのはこの僕だ。」
そういった途端にイシス・イブラヒムの表情が険しくなった。
「…………帰ってくんないか?やっぱアンタ信じらんない!
父さんには会わせられない!!」
ティエリアは驚愕した。
信じてもらえると思って差し出した写真で
何故不信感を募らせてしまったのか。
「何故!?」
考えるより先にまっすぐに質問を返す。
「この父さんの隣がアンタなら…
なんで目の前にいるアンタがそんなに若いんだ!?
合成したに決まってる!!」
イシスは写真をテーブルに投げつけた。
「そんな事は無い!合成されてないのは証明されている!」
「じゃあ、あんた今何歳なんだ!?この写真から何年経ってるんだ!」
訳が分からない。全身で伝えながらいっそう警戒心をあらわにして
目の前の子供は写真とともに疑問を投げつける。
「帰れ!!」
イシスがずかずかとティエリアに詰め寄る。
「帰らない!!彼に会えるまでは!!」
ティエリアもここまで来たらあとには引けない。
刹那をつれてソレスタル・ビーイングへ帰らねば。
「嘘つきにソランは会わせられない!」
立ち上がったティエリアの肩をつかみ、
イシスがティエリアを玄関に押し出す。
「嘘じゃない!僕は刹那の仲間なんだ!」
背中を押されながらティエリアも抵抗をする。
イシスの力はティエリアが予想していたものよりも強い。
父親から何かの教育はなされているのだろう。
「ここに居るのはソラン・イブラヒムだ!刹那・F・セイエイじゃない!」
悲鳴のような声が上がる。
ーーー今、この子はコードネームをフルネームで発言したーーー
ティエリアは聞き逃さなかった。
「僕は、刹那のコードネームを最後まで言った事はない。
……刹那の事を知ってるね?」
しまった。と言わんばかりにイシスの身体から勢いが落ちる。
次の瞬間、イシスの手がぎりりと拳を作る。
「…今までなんども同じようなヤツが来て、
訳の分からない御託を並べて…
結局、目的は一つ、このビル目当てだったじゃないか!
立ち退いてほしいんだろう!?
ここは父さんと2人の大事な場所なんだ!!
あんたも同じだ!父さんには会わせない!!」
言い終わるが早いか、イシスはティエリアの胸ぐらを掴み
入り口へと押し出した。
かなりの勢いがあったのと、
不意打ちを食らった形のティエリアはあっさりと玄関まで吹き飛ばされる。
そのまま、外に追い出されそうな形になり
2人は玄関ドアで鬩ぎあう形になった。
「違う!!僕は本当に刹那に会いにきたんだ!!」
「嫌だ!!帰れ!!!」
もう既にイシスの声は悲鳴に近いものになっている。
「ここは俺の住まいだ!!この場所は渡さないからな!!」
「刹那にソレスタルビーイングに帰ってきてほしいんだ!
その必要があるからここに来た!!もちろん、君も一緒に。」
「だって、父さんと同じなら、あんたもう既に40歳近いんだろう!?
なのに目の前に居るアンタはどう見たって20歳位じゃあないか!!
あの写真が事実ならあんた、人間じゃないだろ!!」
この言葉に流石にティエリアもかっとなる。
ありったけの力を込めてイシスを突き返す。
イシスがよろめきつつも数歩後ずさる。
ティエリアの気迫に押される形になる。
「…僕の…この身体は遺伝子操作されている!」
ティエリアの叫びににた声が部屋に響く。
イシスは叱りつけられた子供の様に身体をかすかにびくつかせた。
それだけの気迫と勢いがティエリアにはあった。
それを確認するとティエリアは呼吸を落ち着けて話しだした。
「僕の身体は普通の人間より肉体的な年齢の取り方が遅いんだ。
僕が初めて君の父親…ソランにあった時は、
僕はソランより外観的年齢は上だった。」
「…そんな事…できるんだ…」
信じられない事実を突きつけられたと言う驚愕を隠せないイシスは
そう呟くほか無かった。
「次に…4年間離れたあとに再会した時の写真がこれだ。」
テーブルに投げつけられた写真を示す。
「僕は…多分人の数倍の遅さで肉体的年齢を重ねる。
いろんな人間の死を見て行かなければならないんだろうな。」
ティエリアが寂しそうな笑みをこぼす。
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あれー?おかしいな?
もっとティエと子刹那がすったもんだするはずなのに…
ティエが暴れてくれない…orz