「目…?」
スェウはまだよく判らないという表情でイシスを見る。
「うん。この目は…父さんのものだから。
傷つけるわけにはいかない。必ず守る。」
少し俯きながら答えるイシスにスェウは掛ける言葉を失った。
「さ、本人も起きた事だし、そろそろいいだろ。
だいいち、そこにでかいのが2人も3人も立ってたら邪魔だ。
暇じゃないんだろうし、行った行った。」
メディカルチーフのトマス・サランドナに急かされると
渋々と3人はメディカルルームを後にした。
メディカルルームを出てすぐの通路では
ティエリアが3人を待ってたと言わんばかりに腕を組んで立っていた。
普段はあまり意識させないものの
ティエリアはここ、『ラグランジュ3-0』の艦長と言う肩書きがある。
そこで『マイスター候補が怪我をした』という情報を耳にすれば
詳細を確認したくなるのも当然の事だろう。
ティエリアの眉間には軽く縦に筋が入っている。
3人はそろってばつの悪そうな顔をティエリアに向けた。
「イシスは?」
有無を言わさない質問がティエリアの口から出る。
「イシスなら、今目を覚ました。軽い脳震盪だ。大した事ないよ。」
アレルヤが答える。
「…ならいい。」
相変わらずの素っ気なさでティエリアが答える。
「…なぁ…ティエリア…聞きたい事があるんだけど。」
アレクセイが切り出す。
「イシスの事か?」
「…ああ。」
少し口ごもってから、意を決した様にアレクセイが質問を切り出す。
「あいつ…一体何者?腕っ節はあんなに凄いくせに
一旦咎が外れるとあの暴走っぷりとか…
ダブルオーをいきなり起動させて動かしたのもあいつなんだろ?
それに…突然降ってわいた様に現れて…
いきなりマイスター候補ですー。なんて。」
「必要条件と実力は十分だ。素質も。」
ティエリアは簡潔に答えを返す。
「だからって…イシス…あいつまだ子供じゃないか。
トレーニングやシミュレーションも皆同じなんだろ?
一緒にシミュレートしてて心配になるんだ。
俺も、アイツの事知っておきたい。」
スェウも声を上げる。
その声にアレルヤとティエリアは視線を交わす。
お互いに軽く頷いたのを確認した後、
スェウとアレクセイの背後に居たアレルヤが口を開いた。
「イシスの父親は、イシスと同じ歳にソレスタルビーイングに入った。
…ガンダムマイスターとして。」
スェウとアレクセイは驚きを隠せない様子でアレルヤを見遣る。
「ガンダム…マイスター…」
「じゃあ…イシスは…イシスの父親は…?」
「そう。イシス・イブラヒム。あの子は…
『刹那・F・セイエイ』
本名 ソラン・イブラヒムの… 『娘』 だ。」
「「………『娘』えぇぇぇ!?!?」」
正面を見据えて2人に知らせるティエリアを見ながら
真ん中に立っている息子2人が驚愕の声を上げた。
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