___________________________________
「父さん、ホントによかったの?」
「構わんさ。どうせ飛んで戻ってくるだけだからな
…とは言っても、デモンストレーションだから、
ターゲットを打ち抜かなければいけないから
少し衝撃があるぞ。覚悟しておけ。」
乗ってから覚悟も何もあったものではない。
そう思いながらもティムは素直に頷いた。
もう、慣れっこだったものもあるのだが。
「上がるぞ。」
「…は?」
父親の一言にティムがいぶかしむ間もなく
フラッグのコクピットが角度を変え、速度を上げ、急上昇して行く。
途端に、補助バンド1本で繋がっているティムの身体が後方へと吹き飛ぶ。
「ちょ…ちょっと父さん!」
「黙ってないと舌噛むぞ。」
ティムがヘルメット越しに見る父親の顔は
今までになく楽しそうな表情になっていた。
「そんな事言ったって…うわあぁぁぁぁ!」
ティムの叫び声とともにフラッグの速度が上がって行く。
「撃つぞ!捕まってろ!…おい!ティム!?」
ティムからの返答はなかった。
コクピット内のティムの様子を見たグラハムは
軽く驚いたものの、次の瞬間「しまった」と心の中で呟いていた。
ティムがぐったりとシート脇の隙間に沈み込んでいた。
ブラックアウトしたのだ。
フラッグに限らず、機体上昇の際、プラス方向のGがパイロットの身体にかかる。
その際、脳から血液が引き、視野が暗くなる。
Gに慣れている自分ならまだしも、
あくまでもティムはこれが初めての搭乗体験なのだ。
あらゆるパイロットスーツには、それを防ぐ為に
適切な機能が備えられてはいるが、
それでも人間の限界は何年経っても
基本的な設計があるものだから仕方がない事だ。
「…う…」
ティムが少しの間を置き、頭を押さえる様に
ヘルメットに手を置きながら起き上がった。
その様子を見たグラハムは少し速度を下げながら
一旦、機体を水平に戻す。
「動けるか?しっかりしがみついていろ。」
グラハムが操縦桿を動かすと、
フラッグがターゲットを捕捉しようと腕を動かす。
その時。
基地の中が騒ぎ始めた。
観客も、スタッフも。
フラッグのコクピット内、
全面モニターの足下にもその様子が映し出される。
「…とうさん…下の様子がおかしい。」
ティムが横からモニター下部を指差した。
グラハムもその先を見遣る。
同時に有視界通信が2人の耳元に入ってくる。
『グラハム、聞こえるか?』
ビリーの声だ。
「おじさん?何かあった?」
『ティム、大丈夫か?』
「僕なら…大丈夫。」
『ティムを乗せたままで済まないが、出撃要請だ。』
その言葉に、グラハムの表情が険しくなる。
「なにがあった?」
『10分前、テイクオフしたステルス機の1機がレーダーから姿を消した。』
「他の2機は?」
『緊急着陸させた。だが、問題の1機が戻らない。
で、3分前…レーダーに再び姿を現した…
方翼が半分になっている。墜落は火を見るより明らかだ。』
「墜落予想場所は!?」
『このまま放っておくと、もげた翼の破片はこの基地内。
本体は今パイロットが頑張って操縦してるが…
どこに落ちるかは判らん。』
「…それって…」
隣で聞いていたティムが息を呑んだ。
「非常事態だな。それで下が騒がしいのか。
翼の方の落下予測時間は?」
『地表まで約5分。それまでに
君のカスタムフラッグで人の居ないところへ落下するように、
落下方向を変えて欲しいんだ。』
「わかった。」
次の瞬間、カスタムフラッグ機はその機体を翻し、
モニターにあらわれた落下物のデータと
落下予測方向の座標を目印に上空へと飛翔する。
「ティム、身体は慣れてきたか?」
「…なんとかね…」
ティムは、父親の言葉に正直に答えていた。
虚勢を張るような余裕が無かった。
まさか初めての搭乗でこんな緊急事態に陥るなんて思っても見なかった事だ。
本格的な飛行が体験出来るというわずかな喜びと
自分がついて行けるかという不安が交ざりあい、
気付かないままにシートの背もたれを掴む腕にも力が入る。
「その調子だ。しっかり捕まっていろ。
その補助ベルトはあくまでも他のパイロットを保護した時や
どうしてもコクピットにもう一人乗せなければならない時につけてある。
簡単に外れはしないが、操作一つで身体から外れる構造だ。
ベルトのボタンは触るな。吹き飛ぶぞ。」
父親の説明にぎょっとしながらコクピットに乗った時に
自分の腰にまわしたベルトについていたボタンをまじまじと見た。
説明しているうちに、コクピットのメインモニター上部に赤い交点と
アラート音が聞こえた。
グラハムがモニターを操作し、上空を拡大させると
所々に流れる雲の隙間から、
黒い物体が大きくなりながら近づいてくるのが判る。
「父さん!あれ!」
「承知している!」
そう言いながら、グラハムがターゲットにビーム砲を向けたその時、
モニターに映る物体が2つに分かれた。
落下の速度と風力の影響か、破損した翼の1部が別々の方向へと落下し始めた。
PR
初めて戦闘機にのった時にこの展開
あぁぁ゜。゜(つД≦。)゜。゜
ティムの心には
大きく刻まれてゆきますねぇ
やっぱり グラハム父さん かっこいいです♪
こんな風に書いてくださってありがとうございますと
ティムの母のような気持ちになってる私www
そして どこを描けばいいか判らなくなってきた(≧▽≦)
ふふふー♪
ティムには一生忘れられない出来事ですよwww
ハムお父さん、かっこいいのはこの辺までか…?(え)
フラッグに乗ると、ブシドーが垣間見えそうなお父さん…
ティムを忘れないでねー!(えええー)
イラスト、描きたいところでいいので
楽しんで描いていただければ嬉しいです(^^)
あ、親子はパイロットスーツフル装備なので
ヘ ル メッ ト かぶってますよー(^^)ノ(うぉぉぉぉい)