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これを目にしているのは
俺と同じ、ガンダムマイスターの一人である事を願う。
今、俺はベッドの上でこれを書いている。
何も言わずにソレスタルビーイングから姿を消した俺を
皆は責めるだろうか。
弁解はしない。俺を責めてくれても構わない。
只、これをもっているあの子を頼みたい。
俺は、きっとあの子が成人するまで傍にいる事が叶わないから。
あの子は、まだ子供だ。
妻は、あの子を産んで…暫くして死んだ。
俺が唯一愛した女性だ。
彼女が生きた証を…守っていきたい。
今は自分がそれすらも出来ないのが判る。
死ぬのは怖くない。
それよりもあの子を守れないのが辛い。
彼女の微笑みを失ってしまって得たもの。
それが、あの子だ。
この俺なんかが腕に抱いていいのか…
そんな資格なんてないと思っていた。
小さな命。
あの子は生まれながらにして異常があった。
声帯、そして瞳。
産声さえ通常に上げたものの、声が上手く出なかった。
視線は定まらず、光を追いかけるように頭を動かしだしたものの
しっかりものを見なかった。
いろんな病院を廻った。
再生治療に懸けてみた。
一時的に状況が改善された。
ようやく形を認識し、文字を覚え、
歌を歌った。
母親の血なのか、歌は好きだ。
只、それは数年単位で終息を迎えた。
再び視界が狭くなり、あの子は混乱した。
幾度かの再生治療を行った。
再生治療を行えば数年であれども一時的に
状況が改善された。
そんな中、あの子はみるみる成長する。
それだけが俺の救いだった。
自分だけを求める存在がある。
それが…こんな事になるなんて。
彼女も、この子も守れない。
そう思うと辛かった。
ガンダムに乗って、世界を変革しようとしていた男も
所詮子供を抱えるとただの人間だ。
皆には、とてつもない迷惑をかける。
きっと、次に会えるのは遥か先の事になるだろう。
俺の命は、もう長くはない。
あの子が咎を受けるのを親として見なければいけない
そして、また…あの子を一人にしていかなければいけない
…それが咎なのか?
随分厳しいな。
だが、それでも一つだけ救いがある。
俺が死んだら、あの子にこの声と瞳を譲る事が出来る。
それが出来たら…きっとあの子は光と声を得る。
あの子に…サラに…生きる未来を。
あの子は、俺が教えた『イシス・イブラヒム』を名乗るだろう。
だから、ここにだけあの子につけられている本当の名前を記しておく。
『Sarah Ibrahim Ismail』
(サラ・イブラヒム・イスマイール)
あの子は、俺を置いていった自分の母を
慕いつつも善く思っていないらしい。
そして…そこにつながるアザディスタンの一部から
『国の象徴としての形式上の女王』として呼び出される事も。
いずれ、あの子は大きな選択を強いられる時が来るだろう。
その時に、あの子にとって最善である選択肢を取れるようにしてほしい。
頼み事ばかりですまない。
俺がしてやりたいけど…もう…そうもいかない。
きっと、これを当時の仲間の誰かが読んでいるならば
あの子は、俺の生きた痕跡を消し去った後だと思う。
あの子に頼んでいる。
俺の生きた痕跡を消してくれ。と。
俺が望んだ事だ。それでいいと思っている。
あの子がいるだけで、俺には生きた証がある。
それだけで十分だ。
あの子は、俺に生きる力と意味を教えてくれただけじゃない。
それ以上に笑顔でいる事の大切さ、
光の暖かさ、そこに生きている事への感謝。
様々な事を教えてくれた。
あの子は…俺が唯一この世界に残せる『命』だ。
あの子に、光と笑顔を。
そして、皆に
感謝と謝罪を。
刹那・F・セイエイ
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「咎は受けるさ。
皆、その覚悟でやってきているんだ。
…自分自身だけが受ける咎なんて
まだまだ生易しいものだと…そういうのか…?」
ティエリアの顔に怒りとも悲しみとも言えない表情が浮かぶ。
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刹那が愛しい子と仲間に託した想い
読んでいて胸が熱くなった゜。゜(つД≦。)゜。゜
>銀サチさん
熱くなりましたか?ありがとうございます(^^)v
でも、まだまだ足りない部分、書いてない虫食い部分があるんですよね。
(2009/04/04現在)
なので、また…この文章は完成してないんです。
それでも、掲載する意味があるかと思ったので
あえて公開に踏み切りました。
まだ『咎を受ける遺伝子』が終わってないので
この続きは…もう暫くお待ちくださいませ(ぺこぺこ)