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アイシャは巧妙に隠している通信機器から
情報を取り込んでいった。
勿論、ブリーフィング時や事前に手渡されているデータは
ロックオンを通じて
ソレスタルビーイングへ送ってある。
フラッグの機体格納庫から
暫く歩いたところにある第3倉庫に
疑似ターゲットの確認へと向かう。
「これが、今回の疑似ターゲットだ。」
そう言って研究機関のクルーに見せられたモノは、
既に生産が禁止されている『もの』に酷似したものであった。
只、対フラッグ用に大きさが変えられてある。
20年前に使用され、その後倫理的な論議がなされ
10年前には製造が禁止されているオートマトン。
今、目の前にあるのはそれの倍はあるであろう大きさの
シルエットは同じである。
「これは…」
「いいのか?これ…」
「オートマトン…?」
次々に上がる声にクルーが応える。
「そうだ。明日はこれをフラッグで倒してもらう。」
その時、倉庫から非常ブザーが鳴り響いた。
『オートマトン、一斉稼働開始!原因不明!
総員退避!繰り返す…』
その声とともに目の前にあるオートマトンが
一斉に唸りを上げる。
「逃げろ!」
研究員の声とともにティム始め、パイロットを含む
その場にいる全員が避難を始めた。
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第4倉庫では、ビリー・カタギリが驚愕の表情を見せていた。
オートマトン型疑似ターゲットの稼働開始、
原因は不明である事が伝えられていたからだ。
「一体…何が?
あそこには今パイロットが行っているんだぞ!
避難しているのか!?」
「今、全員避難開始しています!」
「オートマトンのエネルギー稼働限界時間まで
あと何時間かかると思っているんだ!?
避難を急げ!モビルアーマ、フラッグ、
動かせるものを総動員して静止してもらうよう要請しろ!早く!!」

ビリー・カタギリが声を荒げる。
第4倉庫、ミーティングルームでは
研究所員が慌ただしく動いていた。
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慌ただしくなったのは倉庫ばかりではなかった。
グラハム・エーカー総隊長室にも勿論連絡が届いていた。
グラハム・エーカーの表情が険しくなったのは
自分の所属する基地で起こった騒動によるものだけではなかった。
まさに敷地内のその現場、
11年前、自分の愛する妻を失った場所で
今度は息子が命の危機にさらされている。
しかも今は丸腰に近い。
形式上、銃は所持しているが
あのようなマシンにハンドガンなど無意味に等しかった。
グラハムは自分がその場に駆けつける事が出来ない身体である事に
もどかしい気持ちを抱えていた。
そんなグラハム・エーカーを逆なでする様な
報告が飛び込んで来た。
内部の反乱。
研究所員の数名が小規模反政府武装組織の一員である事を表明、
オートマトンを利用して人質を取ったとの連絡だ。
人質…将来有望として新規登用したばかりの
フラッグパイロット…
ティム・エーカーをはじめとした5名だった。
勿論、その中に
アイシャ・エリア=イシス・イブラヒム
…刹那・F・セイエイの姿も入っている。

オートマトンがうろついている中、
手を頭の後ろに置く事を要求され、
数名の男達に銃を突きつけられているティム達が居た。
「こんな事してまで…お前らの要求は何なんだ!?」
周囲の男性にエリオットが疑問を投げかける。
男性の一人が答えた。
「俺たちは、お前達ユニオン軍に
すべてを奪われた人間の集まりだ!
親を…兄弟を…子供を…家を。
そんな人間が集まった!
これは復讐だ!!」
「それは、お前達が対話を暴力に変えたからじゃないのか!?」
エリオットが続けて男達に噛み付く。
「うるさい!!それ以上話すと撃ち殺すぞ!」
興奮した男がエリオットに銃口を向ける。
「止せ!」
ティムが叫ぶのと同時に銃口が火花を散らした。
エリオットの身体がぐらりと揺れる。
見開いた目はもうどこも映しておらず、
ばたりと倒れたコンクリートの地面からは
頭部からの鮮血が赤黒い地図を描いていた。
メルセデスが悲鳴を飲み込み、スンは目をそらす。
銃声の後の重い沈黙がその場を制した。
そのまま、残った面々は
先程ミーティングを行った第4倉庫へと
連れ戻される形になっていた。
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そのまま訓練突入かと思っていたら
あわわわあわオートマトンですか!!!
ティムが人質゜。゜(つД≦。)゜。゜
お父さん気が気じゃないはず!!!
今にも隊長室を飛び出し 息子の下へ走ってきそうなんですけど
体がっ ゜。゜(つД≦。)゜。゜ ああわわわわ
ふふふ♪
訓練の話を書いちゃうともんのすっごく長くなりますし
話が間延びすると思ったので割愛させてもらっちゃいました(^^;
さてはて、どうなりますやら。
ドキワクして頂けると嬉しいです(^^)v