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ビリー・カタギリはじめとする研究所員は倉庫へと追い出され、
人質救助をしたくても手出しが出来ないでいた。
「これが…世界に知れ渡ったら
この基地どころかユニオンに批判的な目が向けられるのを
判ってての騒動か…?
疑似オートマトンのバッテリー残量は判るか?」
ビリーは近くにいる研究所員に訪ねた。
聞かれた男性は手持ちの端末に目と落とす。
「疑似オートマトンバッテリー稼働停止まであと…
10時間もあります!」
「…!?何だと!?バッテリー残量は
半分に落としてあるんじゃなかったのか?
なんで全機フル充電になっているんだ!?」
「ですが、全機フル充電になっています!」
「誰かが故意にデータを書き換えていたか…
そこまでされるとは…!」
ビリーはそこまで口をついて出た言葉と
自分の憶測をもう一度端末を確認している男性に聞いた。
「疑似オートマトン全機のモードを確認してくれ。」
「疑似オートマトン…
全機キルモードになっています!
これでは基地全体が危険に!」
「そこまでデータ改ざんがされていたとは…!」
ビリー・カタギリの背中に冷たいものが走る。
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ミーティングルームでは、
人質の4人が部屋の中央に座らされていた。
全員が抵抗を見せなかった為に手錠などの拘束はなかった。
そのかわり、銃口を突きつけられている状態は相変わらずであった。
部屋のドアが開いた。
入って来たのは見覚えのある男性であった。
ザウル・ダン
悠々と靴音を鳴らし、
人質となったティム達の前で立ち止まる。
「お前達は、もう少し待っていてもらおうか。
しばらくしたら、オートマトンの群れの中へ出してやる。
我々の苦しみと悲しみを味わうといい。」
「ザウル…お前…」
「気付かなかったか?俺も上手く潜り込めたと思ったよ。
ここまで上手く行くとは思ってもなかったがな。」
にらむつけるティムを見下す様に
ザウル・ダンは今までティム達に見せた事のない笑みを浮かべた。
その時、大きな振動と共に倉庫に爆発が起こった。
疑似オートマトンの攻撃が第4倉庫内部にまで及んでいたのだ。
組織のメンバーが動き出す。
ザウル・ダンはじめとするメンバーは
ティム達に威嚇射撃をして足止めした直後に
部屋を後にする。
部屋のロックが外側からかけられる。
ミーティングルームの窓越しに格納庫が見える。
格納庫の内部で次々と小規模な爆発が起こっている。
ティム達にはどこで何が起こっているか
把握できる手段があまりにも少ない。
「彼らは、ここでアタシ達人質に見せるつもりだ。
そして自分たちの証人に仕立て上げるつもりだ。
ここでじっとしているわけにはいかない。」
声を上げたのはアイシャだった。
「アイシャ!?どうするの?
アタシ…まだ実機演習なんて…」
「動けないなら、ここで待っていた方がいい。」
メルセデス・レートのおびえた声に
アイシャは落ち着き払った様子で指示をしながら
スカートをまくり上げ、
隠し持っていた45口径のハンドガンを構え、
ドアに向かって数発の弾を撃ち込んだ。
ドアのロックを確実に破壊したアイシャは、
ミーティングルームに設置されていた
ゴーグル一体型の通信機を身につけながら、廊下の様子をうかがう。
「俺も行く!」
ティムはそう声を上げると、アイシャに続いて
ジャケットに隠していたホルスターからハンドガンを出し、
廊下へと足を運ぶ。

ミーティングルームから格納庫へと続く廊下は
全員避難したのか、思いのほか人気がなかった。
格納庫へとたどり着いたティムとアイシャは
無傷なフラッグ機があるか確認をしていた。
6機ある機体のうち、なんとか2、3機が無傷の状態になっていた。
他の機体は疑似オートマトンの攻撃によって
ひどいものはコクピット部分がえぐれているものもあった。
「ティム・エーカー。乗れるか?」
「…ああ、やってみせるさ。」
アイシャとティムが短い会話を交わした後、
無事である2機を稼働させていた。
同じ格納庫の中で、ビリーはフラッグ機が稼働開始したのを見ていた。
壁面に設置されている通信機でコクピットへと直接通信を試みる。
「誰だ!?フラッグを動かしているのは!?」
「おじさん!!無事!?」
聞き慣れた声が耳に飛び込んで来た瞬間、
ビリーの表情から一瞬緊張の色が解けた。
次の瞬間、再び緊張の色を取り戻す。
「ティム!フラッグは今使用できる専用の武器がない!
明日にならないと来ないんだ!
そんな丸腰でオートマトンを制覇できる訳が…」
「武器庫に使えるものがあればそれでいい!
武器庫にたどり着くまであるものでしのぐ!」
「…君は?」
「アイシャ・エリアです。」
ビリーの危惧を抑える様にアイシャが割り込んだ。
「フラッグ機、出る!」
アイシャのかけ声とともに、
ティムとアイシャのフラッグが動き出した。
倉庫を飛び出したティムとアイシャの乗るフラッグに
稼働を開始していたオートマトンが銃口を向ける。
ティムとアイシャは倉庫の柱をもぎ取り棍棒の様に振り下ろし、
銃撃をくぐり抜けてオートマトンを牽制しつつ、
武器庫へと向かっていた。
武器庫へ後一歩というところで
第4倉庫が大規模な爆発を起こした。
爆発が収まった時には、第4倉庫は
跡形もなくなっていた。
「…おじさん!!!」
フラッグのコクピット内部で
ティムの叫び声が響いていた。
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飛び出したアイシャを



(爆)
思わず追いかけるティムがいいヽ(*´∀`)ノ
↑超贔屓wwwww
アイシャ本領発揮ですねぇ
かっこいいなぁ
でも…
おじさぁぁん
きゃっ♪贔屓だなんてありがとうございます!!
アイシャとティム、書いててテンポあがります。
こういう話は勢いつけてうりゃぁぁぁ!!っと書いてしまうので
書いてて楽しいです(爆)
これから終盤に向けてトランザムです!!www
ビリー…ごめんねぇ…orz