__________________________________
武器庫へ入ると、そこは既に疑似オートマトンに因る破壊の後が
ありありと見て取れた。
その中で使用可能な武器を探すアイシャの傍らで
呆然としているティム・エーカーがいた。
「ティム!受け取れ!」
かろうじて使えそうなモビルアーマー用のサーベルを
ティムに向かって投げ渡した。
受け取りながら、ティムは動揺を隠しきれないでいた。
「なんで…?」
「ティム?」
「なんで、アイシャはそんなに平気なんだよ!?
皆…あの爆発で…無事でいるかどうか…」
ティムの声にアイシャは冷静に答える。
「だから、今のこの状況を切り抜けるんだろう?
軍にいるのなら、皆経験する事だ。
皆を助ける為に武器を持つ。」
その声にコクピットのティムは
顔を上げた。
ティムの乗るフラッグがサーベルを受け取る。
アイシャ、ティム、
2人のフラッグが疑似オートマトンへと向かっていく。
その間にアイシャ…刹那(イシス)は
携帯端末でロックオンへと連絡を取っていた。
「ロックオン、状況は確認できてるな?
ファネルの移動を頼む。」
「オッケ。予想よりずいぶんと早かったな。
こっちもゼルク、スタンバイしてるぜ。」
イシスは通信を切ると、モニターを見回した。
オートマトンが遠巻きに見える。
ティムは勢いに任せる様に
フラッグの手に握りしめられたサーベルを振りかざしながら
オートマトンに向け突き進む。
オートマトンは合計24台。
模擬戦ではフラッグ各機が
それぞれ4台倒せばいい算段だったから
簡単なものであった。
それが今や基地中の人間を殺戮すべく
縦横無尽にかけずり回っている。
武装組織の人間達は逃げ仰せたのか
それとも運命をともにしたのか
それすらもティムとアイシャには判らなかった。
只、基地のありとあらゆるところで無惨に倒れている
人間の死体がオートマトンの仕業である事は明瞭だ。
そのオートマトンが数基、
ティムとアイシャのいる方向へと向かって来た。
ティムはそれに向けてサーベルを振り落とす。
オートマトンの1基が分断され、動きを止める。
手応えを感じたティムは、他のオートマトンに向かって
サーベルをふるうべく移動を始める。
それは、いつの間にか後ろに回り込んでいた
1基から発する銃弾に遮られた。
ティムの持つサーベルに穴があく。
次に撃たれた時にはサーベルは半分の長さにへし折られていた。
少し離れたところではアイシャが同様に苦戦していた。
数基のオートマトンに足下を捉えられ、
アイシャ・エリアの機体が倒れる。
「アイシャ!!」
ティムは叫びながらアイシャに向かおうとした。
倒れた機体に向かい、
オートマトンは一斉に襲撃を書けようと襲いかかる。
そこで、オートマトンの動きが止まる。
アイシャのサーベルが効率よくふるわれる。
襲いかかっている数基のうち2、3基のオートマトンが
ボディの足を折られ、崩れ落ちる。
オートマトンは最後の足掻きと言わんばかりに
砲弾を撃ち放つ。
その銃弾が本部建物に向かい、
建物の窓や壁に大きな穴をあけ、爆発を起こす。
砲弾は、最上階のとある場所を打ち抜いていた。
打ち抜かれた場所をモニターで見たティムは叫ばずに張られなかった。
「とうさん!!!!」
そう。その場所は…総隊長、
自分の父親がいるであろう部屋の場所であった。
オートマトンが自分に向かって迫っているのが判る。
アイシャのフラッグが倒れ、他のモビルアーマー始めとする
武器及び火器が対応するも状況は好転していなかった。
そんな中、立ち尽くしているティムのフラッグは
オートマトンにとって格好の的であったのだ。
アイシャのフラッグを倒したオートマトンは
次のエモノと言わんばかりにティムのフラッグへと襲いかかる。
本部建物に気を取られていたティムは
オートマトンの攻撃にあっさりとフラッグの膝を打ち抜かれ、
フラッグが倒れていく。

フラッグのモニター一面に
オートマトンの銃口が向けられるのを
ティムが目にした時、
数発のビームライフルとともにオートマトンが横へと吹き飛んだ。
ビームライフルの主が『ロックオン』である事に気付いたのは
アイシャ=イシス・イブラヒムだけであった。
吹き飛ばされなかったオートマトンは
一斉に離散し、次のターゲットへと動き出す。
ティムはフラッグの上半身を起こし、
周りの状況をモニターで確認する。
少し離れたところにある
アイシャの乗っていたフラッグのコクピットが開くのに
気付いたティムは、映像を拡大させた。
1基のオートマトンがコクピットから出ようとするアイシャに近づく。
コクピットから陰が飛び出した。
オートマトンがそれを打ち抜くと同時にオートマトンは
どこからともなくやってくるビームサーベルの閃光に一閃させられていた。
「…アイシャ…!?」
ティムは通信機の非常用回線を開け、
アイシャへと声をかけようとした。
その時
上空から青と白を基調にした、
1機の鮮やかなアイシャの機体がアイシャの傍へと降り立った。
フラッグのコクピットから、アイシャが立ち上がる。
アイシャは上着をおとりに放り投げ、オートマトンの銃撃を躱していたのだ。
その証拠に、彼女の上着は無くなっていた。
あっけにとられていたティムは
更に驚く事になった。
アイシャが、その濃いブラウンの髪の毛を投げ捨てたのだ。
ウィッグの下から現れたのは癖のある短い黒髪。
『彼女』が突如現れた機体へ誘われるように飛び込んでいく。
「あれ…は…?」
驚愕するティムの通信機へ不意に声が入ってくる。
「…プライオリティをプトレマイオスから
コードネーム、『刹那・F・セイエイ』へ。
ファネル、目標を駆逐する!」
声を聞いた次の瞬間、
アイシャの傍に降り立った機体が命を与えられたかの様に
瞳に当たる部分から輝きを増す。
「せ、つ…な…?」
忘れようもない、その名前をティムは声に出す。
自分が初めて銃口を向けた人物。
その日から、後々、父から聞いた話に出てくる名前。
父の身体と心に癒えない傷をつけた人物。
復讐に、戦いに身を委ねた父に『生きろ』と
大きな選択肢を残した名前。

ティムは呆然と目の前の鮮やかな機体に目を奪われる。
その次の瞬間。
ファネルと呼ばれた機体が舞う様に腕を振る。
腕を振ると、次の瞬間にはオートマトンが分断され
動く事が出来なくなっていた。
その間に、残り数基のオートマトンが本部建物を背に疾走していた。
ファネルのビームライフルが打ち抜いた。
背後の建物と共に。
「とうさんっ!!!!」
ティムはもう一度、
今度は確実に耳に届いてないであろう父親に叫んだ。
PR
本格的な戦闘ですねー
って冷静でいられんんんん
あぁぁ゜。゜(つД≦。)゜。゜とうさん
ティムの心が締め付けられるの伝わってくるなぁ
ってか 私自身の気持ちがティムになってる気がする。
ちょ これ 絵描くの難しいぞー(≧▽≦)頑張るぅ
本格的ですが…あっさりしちゃいます(爆)
呼んで頂ける皆様にドキドキして頂けたら本望なくだりなので
是非ドキドキしながら呼んで頂ければと思います(^^)v
絵、難しいですか?頑張るという事は…♪
素敵イラストにわくわくしながら待ってますwww