20-years-after

「…目…」
「め？？」
イシスがぽつりと言った言葉に
今ひとつ意味が分からないと反芻しながらスェウは首を傾げた。

「スェウの棍棒。あと少しで目にあたるところだったんだ。
掠めた瞬間から…自分の制御ができなかった…
この『目』は特別に守りたいものだから。」
それでも、スェウに大きな怪我を負わせかねない攻撃をした事を
イシスは謝罪していた。

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壁にもたれかかる様にして気を失ったイシスがぱたりと床に崩れた。
あわててアレルヤとアレクセイが駆け寄る。

アレルヤはここでようやく
自分の息子がどうやってここに入ってきたのかを聞いた。
どうやら、講義が終わってシャワーを浴びに行く途中で
トレーニングルームの前を通りかかると
イシスとスェウが武器を構えてたところで
面白そうだからとしばらく眺めてたら
あの展開になっていたという事だったらしい。



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「スタート！」

アレルヤの声で武器使用のシミュレートテストが開始された。
勿論、武器もシミュレート用の擬似的なものではあるが
使い方によっては相手に怪我を負わせる可能性がある。

スェウとイシスの間にも緊張が走る。


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「イシス・イブラヒム…スェウ・ディランディ。」
名前を呼ばれた２人はトレーニング用のウェアを着て対峙していた。

あの会話から３日後のことである。

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「マイスター候補」
ソレスタルビーイングの中でも
ガンダムを操る事の出来る素質がある人物をそう呼ぶ。
１０人にも満たない彼らは
通常の勤務とは違い、プロとしてそれぞれがオリジナルのカリキュラムを組まれ、
テストとトレーニング、講義など
一般の組織とは一線を画した行動をしている。
そんな中の一人、イシス・イブラヒムも
相変わらずテストと訓練の日々が続いていた。


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「イシス。いるか？ティエリア・アーデだ。」

イシスの自室へと赴いたティエリアは入り口で本人の所在を確認する。

すぐに扉が開き、イシスが顔を見せた。
「ティエリア？どうした？
謹慎処分は今日までだったよな？」


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グリニッジ標準時刻、深夜。
自室のコンピューターで
イシスから渡されたメモリーの
膨大な情報を読むティエリアの姿があった。

『父さんに…似てるだけじゃないんだ…』
以前起動ステーションで呟いたイシスの言葉を思い出す。


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ティエリアが00のコクピットへと向かう中
コクピットの中にいるイシスも精一杯00を制御しようと画策していた。

少し離れた場所にある別格納庫では
アレルヤとロックオンが各々の機体に乗り込んでいた。


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いよいよ00がゲートに近づいて行った。
ティエリアはもう埒があかないとばかりに
壁面に取り付けられているモニター画面を操作し、
緊急呼び出しのボタンをクリックした。


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パイロットスーツを着た子供が
ガンダムの格納庫でふわりと浮かび上がる
その先には２０年ぶりの操縦者を迎え入れるかの様に
ダブルオーがハッチを開けていた。

そこにいるのは、かつてその操縦桿を掴んでいた人物の子供であり
決して本人は帰ってくる事が無いのに。

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